血液悪性疾患の脊椎病変の検討
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概要
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血液悪性疾患の脊椎病変の検討を行った.対象は9例で男性5例,女性4例,平均年齢60歳であり,疾患別には悪性リンパ腫(以下ML)5例,骨髄腫(以下MM)4例であり,経過観察期間は2-48カ月(平均12カ月)であった.臨床症状,血液検査異常所見,画像所見特徴について検討した.臨床症状は腰背部痛6例で軽微な外傷4例であり,下肢痛,しびれ3例,下肢脱力5例に認めた.検査所見では総蛋白,M蛋白上昇はMMに多く,発熱,LDH上昇はMLで多かった.可溶性IL 2受容体はML全例に認めたがMMでも2例で上昇していた.単純X線での椎体骨折はMM 3例,ML 1例とMMに多かった.CTでの溶骨像はMM 3例,ML 1例に認め,皮質骨破壊も同時に伴い,骨外性腫隆はMM 3例,ML 2例に認めた.MRI所見は椎体腫瘤様所見を椎体骨折を認めたMM 3例,ML 1例に認め,椎体信号変化均一であるものはMM 3例,ML 5例と多く,椎弓根信号変化,骨外病変も伴うものが多かった.50-60代の前半の脊椎骨折や持続する背部痛,下肢症状患者は臨床症状(貧血,発熱,寝汗等)の問診やリンパ節の触診を行うことに加えてMRI検査,血液検査を一度は行うことも念頭に置いておくことが肝要であると考える.
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西日本整形・災害外科学会 | 論文
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