エナメル質結晶形成に関する研究
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概要
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高分解能電顕でエナメル質初期結晶形成を観察した. gultalaldehyde 固定によると, 径20-50nm の粒子状構造, 芯をもつ細管状構造, amorphous な物質がトームスの突起間や分泌面に観察される. tannic acid 固定では gultalaldehyde 固定と同大の粒子状構造が細胞膜から数百 nm の範囲に認められ, 同時に中心に芯のある細管状構造が観察された. 芯は 1nm以下の大きさの撚糸状構造であり, apatite結晶の構成原子と同大である. これは最初に形成されるエナメル質結晶と推定される. amorphous な粒子状構造は, エナメルタンパクであり, apatite 結晶の構成原子を捕捉する enamelin の疎水部を含む一部と考えられる. これが互いに癒合して細管状構造となり, 内部に原子が集積し, 不規則配列する撚糸状構造をつくる. これが有機基質に富む amorphous な最初の結晶の先駆的構造である. 故に, この構造は酸に不溶であり, 酢酸ウラン-鉛によって染色される.結晶のC軸は細管状構造の配向により決まる. 細管状構造の enamelin のC 末端はトームスの突起の分泌面細胞膜と接着し, N末端は sheathlin に付くと考えられる. このようにして細管の配向が決まり, 結果としておおよその結晶配向が決定する. 細管状構造の内部で, ある程度原子が集積するとamorphousな先駆的エナメル質結晶は結晶核となり, 原子の熱エネルギーが最小の安定な平衡状態へ移行し, 突然数層の原子配列をもつ結晶へ変わると考えられる. これがリボン状結晶である. ついでエピタキシアル成長等により, 結晶上に次々と原子が集積し, 結晶の幅が増し, 板状となり, ついで六角柱状結晶となる. この結晶表面では, 次々に結晶核ができ結晶形成され癒合する。このようにして多角柱状結晶が形成される。結晶の成長はamelogeninの溶解によってできた間隙で起こるため, その大きさが結晶の形と大きさを決める要因となるものと推定できる.
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