マイクロ波を利用した淡水の水位・電気伝導度および淡塩水境界位の計測システム
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概要
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本報では,沿岸帯水層における淡水の水位<I>h</I><font size="1">fw</font> と電気伝導度(EC)σ<font size="1">fw</font>,淡塩水境界位<I>h</I><font size="1">i</font>の計測システムを開発するために,それら3者の計測方法を紹介するとともに,同システムの有効性を室内実験によって評価した.各計測には,対象媒質中におけるマイクロ波の伝播特性を評価できる時間領域反射法(TDR)を利用した.2つのTDRプローブのうち,一方を<I>h</I><font size="1">fw</font>-σ<font size="1">fw</font>計測,他方を<I>h</I><font size="1">i</font>計測に供し,1台のケーブルテスターからマイクロ波ステップパルスを各プローブのロッド部に送り,得られたTDR波形に基づいて<I>h</I><font size="1">fw</font>,σ<font size="1">fw</font>,<I>h</I><font size="1">i</font>を決定した.地下水観測井戸を模擬した円筒カラムにTDRプローブを垂直に設置し,異なるσ<font size="1">fw</font>条件において淡水面または淡塩水境界面を創出することで,<I>h</I><font size="1">fw</font>または<I>h</I><font size="1">i</font>の上昇過程におけるTDR波形を計測した.その結果,<I>h</I><font size="1">fw</font>の上昇過程の波形からロッドの根端-先端間を往復するパルスの伝播時間<I>t</I><font size="1">t</font>とプローブ周囲のトータルEC(σ<font size="1">t</font>)を,<I>h</I><font size="1">i</font>の上昇過程の波形から淡水中のパルスの往復伝播時間<I>t</I><font size="1">fw</font>を得た.さらに,<I>h</I><font size="1">fw</font>は<I>t</I><font size="1">t</font>の,σ<font size="1">fw</font>はσ<font size="1">t</font>の,<I>h</I><font size="1">i</font>は<I>t</I><font size="1">fw</font>の各1次式に基づいて,それぞれ高精度で計測できることを確認した.<I>h</I><font size="1">fw</font>と<I>h</I><font size="1">i</font>の間に挟まれた淡水層厚を淡水領域,σ<font size="1">fw</font>を淡水の塩分濃度の指標とすることにより,提案したシステムは沿岸の地下淡水資源の質的および量的評価に有効に活用できるものと推察する.
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