分布型流出モデルによるメコン川流域の栄養塩流出過程の推定
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概要
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流域内における人口増加や経済発展に伴い,メコン川下流域では栄養塩濃度が増加する傾向にあり,水域生態系のバランスは崩れつつある.本研究では,分布型流出モデルによりメコン川流域における栄養塩の発生・流出過程を解明することを目的とした.全球スケールの公開データを用いて概念的に栄養塩動態を推定する水質モジュールを作成し,そのモジュールを分布型流出モデル(YHyM)に統合した.1987~1991年の実測値によりモデルパラメータおよび農地と都市の栄養塩発生原単位を推定し,1992~1999年のデータによりモデルを検証した. <BR>その結果,本川の2地点(Nakhon PhanomとKhong Chiam)における総窒素・総リンの負荷量の変動は,36.7%以上のNash-Sutcliffe効率で再現され,Khong Chiamにおける年間平均負荷量はTNで9.3×10<font size="1">4</font> tNyr<font size="1">-1</font>,TPで1.2×10<font size="1">4</font> tPyr<font size="1">-1</font>と推定された.また,総窒素と総リン共に上流域では都市からの負荷が最も高く55%以上を,中流域では農業(農地と家畜)由来の栄養塩が43%以上を占めていることが推定された.さらに,中流域の支流であるKading川,M. N. Song Khram川,Nam Mun川は年間平均による評価で本流の栄養塩負荷への寄与が大きく,メコン川最下流部への影響が強いことが示唆された.
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