生育地,生活形態の多様な樹種における水利用様式の比較
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
生育地,生活形態の多様な樹種の樹冠葉における蒸散速度,気孔コンダクタンス,葉・土壌の水ポテンシャル等を測定した.また,<I>P-V</I> 曲線法を用いて葉の水分特性を評価した.そして,得られた通水コンダクタンス,葉の水分特性および蒸散速度を関連づけて解析することにより,多様な樹種の高木個体における水利用様式を明らかにした.冷温帯落葉広葉樹種のブナは通水コンダクタンスが高い反面,葉の初発原形質分離点の水ポテンシャルは高く,脱水を避ける水利用様式を採っていた.温帯常緑針葉樹種のヒノキでは,乾燥期に通水コンダクタンスおよび蒸散速度の低下が見られ,通水障害に対して気孔閉鎖を起こしていたと思われる.暖温帯常緑広葉樹種4種では常に気孔コンダクタンスを低く抑制していた.また,乾燥期には浸透調節を行って葉の耐乾性を高めるなど,乾燥条件下での生存に有利な水利用様式を採っていた.熱帯常緑広葉樹種2種は通水コンダクタンスが低かったが,<I>Dipterocarpus sublamellatus</I> Foxw.は他の2種と比較して通水コンダクタンスが高く,通水距離の増大を克服する給水システムを有している可能性が示唆された.
- 水文・水資源学会の論文
水文・水資源学会 | 論文
- 出水時における河川水中リンの濃度上昇を考慮したヒノキ人工林流域におけるリン収支
- 北海道南西部噴火湾沿岸流域における土地利用の違いが浮遊土砂流出特牲に及ぼす影響
- インドネシア, ブランタス川上流域における放射性同位体Pb-210exを用いた土壌侵食量と土砂供給源の推定
- 降雨流出過程の相違が渓流水質形成機構に与える影響
- 自己組織化マップを利用した豪雨時の成層状態の診断