子宮外に発生した子宮動静脈瘻の1例について
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概要
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帝王切開や子宮内容清掃術後に子宮腔内に子宮動静脈瘻が生じることはしばしば経験するが,子宮外に発生する子宮動静脈瘻は非常にまれである.今回,われわれは子宮筋腫核出術後に子宮外の骨盤腔内に発生した子宮動静脈瘻を経験したので報告する.症例は53歳,今回の子宮動静脈瘻の指摘から13年前に子宮筋腫に対して子宮動脈塞栓術を2回,9年前に子宮筋腫核出術を施行されていた.以後,検診にて子宮筋腫の再発を指摘されるも増大なく経過観察されていた.最近,会社健診の際に約6cmの腫瘤を右骨盤腔に認め,卵巣腫瘍の疑いで当院に紹介受診となった.経腟超音波検査では卵巣嚢腫または卵管留水腫が疑われたが,当院でのMRIにて右骨盤腔に拡張・蛇行した異常血管影を,dynamic CTでは右内腸骨動脈から子宮動脈にかけて広範囲に造影される血管拡張像を認め,子宮外に発生した子宮動静脈瘻が疑われた.無症状であったが,破裂した場合は致死的であると考え,血管造影にて病変部への子宮動脈の血流および拡張した静脈を確認して子宮動静脈瘻の確定診断を行い,子宮動静脈瘻に対して塞栓術を施行した.術後10カ月経過したが合併症や再発を認めていない.筋腫核出術後には子宮動静脈瘻が形成される可能性も念頭に置き,経過観察していく必要がある.〔産婦の進歩66(2): 137-142,2014(平成26年5月)〕
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近畿産科婦人科学会 | 論文
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