経腟分娩に至ったchorioamniotic membrane separationの2例
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概要
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通常,絨毛膜と羊膜は妊娠14~16週で癒合するとされるが,それ以降も癒合しない状態が持続するchorioamniotic membrane separation(CMS)は,羊水穿刺や胎児治療などの侵襲的処置を施行した後に認めることが多いとされている.今回われわれは侵襲的処置を経ることなく自然に発症したCMSの1例と羊水検査後に発症したCMSの1例を経験し,両症例とも経腟分娩にて生児を得たので報告する.症例1は37歳の経産婦である.羊水検査歴なく妊娠24週に超音波検査にてCMSが疑われ当科受診し,超音波検査上,臍帯胎盤付着部付近に一塊となって浮遊する膜様構造物を認めたが,胎児奇形や羊水量異常を認めなかったため外来管理を継続した.妊娠36週4日に分娩誘発施行し,2335gの女児(Apgar score 8点/9点)を娩出した.児および臍帯に羊膜の巻絡は認めなかった.胎盤病理検査では羊膜と絨毛膜が完全に剥離している像を認めた.症例2は41歳の初産婦である.妊娠17週時に羊水検査を施行し,その後CMS疑いにて妊娠22週で当科受診した.超音波検査上,羊膜は全周性に癒合を認めないものの胎児への巻絡は認めなかった.その後の経過において異常所見は認めず,誘発分娩の予定としていたが陣痛発来し,妊娠37週0日に2035gの女児(Apgar score 8点/9点)を娩出した.羊膜が左足に巻絡していたが,児に明らかな外表奇形は認めなかった.今回われわれは,経腟分娩にて生児を得たCMS合併の2症例を経験した.CMSはその管理方針や分娩様式に対し一定の見解はなく,個々の症例に応じて対応する必要がある.〔産婦の進歩66(2) :124-129,2014(平成26年5月)〕
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