術式に苦慮した対側卵管留水症を伴う卵管妊娠の1例
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概要
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卵管妊娠と同時に認められる対側卵管留水症には,自然妊娠を目指して卵管開口術が,生殖補助医療(assisted reproductive technology;ART)を計画して卵管摘出術が行われてきた.本邦では産婦人科内視鏡手術ガイドライン2013年版と産婦人科診療ガイドライン2014年版で初めてARTを前提とした不妊患者に対する卵管摘出術や近位卵管閉塞術の実施が推奨された.当然ながら,卵管妊娠手術の術前には,患側卵管への対応に重点を置いて説明し同意を得る.しかし挙児希望例では,加えて対側卵管への配慮も重要である.今回,術式に苦慮した対側卵管留水症を伴う卵管妊娠の1例を経験したので報告する.患者は未経妊の34歳8カ月の女性で,妊娠6週の右卵管妊娠の診断で腹腔鏡下右卵管摘出術を施行した.その際に左卵管に高度の留水症を認めARTを計画したが,対側卵管摘出術の可能性を術前に本人・夫に説明していなかったので左卵管をそのまま温存した.35歳3カ月で1個の凍結胚盤胞を融解移植したが妊娠は成立しなかった.以上より,患者に挙児希望がある場合は,卵管妊娠の術前に対側卵管への対応についても説明し同意を得ておくべきである.〔産婦の進歩66(2):99-103,2014(平成26年5月)〕
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近畿産科婦人科学会 | 論文
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