当科で行われた生殖可能年齢女性に対する骨盤内経カテーテル動脈塞栓術の予後についての検討
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概要
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骨盤内経カテーテル動脈塞栓術(骨盤内TAE)は,産科危機的出血のコントロールや子宮筋腫の非観血的治療などさまざまな目的で施行されている.骨盤内TAEは子宮温存が可能であるため,挙児希望のある生殖年齢女性に対して施行されることも多い.子宮への側副血行路が発達している妊娠・産褥期に行った骨盤内TAEでは,その後の妊孕性に悪影響を与えないとする報告が多いが,それ以外の時期に行った骨盤内TAEでは,子宮内膜発育不全や不妊を続発する可能性が危惧されている.今回,過去4年間に当科で経験した生殖年齢女性に対する骨盤内TAE症例11例について,その後の妊孕性(月経再開の有無,過少月経の有無,妊娠の有無)について検討した.7例は子宮への側副血行路が発達していると考えられる妊娠・産褥期に骨盤内TAEが行われていた.残り4例は側副血行路が発達していないと考えられる月経期あるいは妊娠終了より1カ月以上経過した時期に行われていたが,いずれも塞栓前と同等の月経が再開し,1例は観察期間内に自然妊娠に至っていた.今回の検討では症例数が少なく,また多くの因子が関与するため断定的な結論を導き出すことはできなかったが,骨盤内TAEは子宮への側副血行路があまり発達していない産褥期以外の時期においても,その後の妊孕性に悪影響をもたらすことなく施行できる可能性が示唆された.〔産婦の進歩66(2):85-92,2014(平成26年5月)〕
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