空調時に発生される帯電微細水分粒子が在室者の皮膚コンダクタンスおよび経皮水分蒸散量(TEWL)へ及ぼす保湿効果
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概要
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帯電微細水分粒子発生機から発生する(−)帯電の直径 20~70 nm の微細水分粒子は角質細胞間隙(約 50 nm)に浸透し角質層を潤わせ,皮膚表面においては空気中の水分子を引き寄せて皮脂膜を形成し水分蒸散のバリア効果を高めることにより皮膚の水分保持に貢献するという仮説検証を目的として実験を行った.実験は24℃,相対湿度35%の人工気候室で19名の健常な成人女性を被験者として帯電微細水分粒子発生機から帯電微細水分粒子を発生させる条件(帯電微細水分粒子発生群)と発生させない条件(コントロール群)において皮膚コンダクタンスおよび経皮水分蒸散量(TEWL:Transepidermal water loss)をそれぞれ Skicon-200(アイ・ビイ・エス社製)および VapoMeter(Delfin 社製)を用いて測定した.外眼角における皮膚コンダクタンスはコントロール条件下では時間経過とともに徐々に減少したが,帯電微細水分粒子発生条件下では一定を維持した.頬における TEWL はコントロール条件下では減少したが,帯電微細水分粒子発生条件下では減少しなかった.これらの結果から,1)20~70 nm の帯電微細水分粒子は外眼角のような角質層が薄い部位では容易に角質層に吸収され,浸透することにより皮膚の保水状態が維持される;2)一方,頬のように角質細胞が大きい部位では帯電微細水分粒子が皮膚表面で吸着された後,表皮へ浸透するよりむしろ周囲空気中へ蒸散する量が多いことが推察される.これらの結果は文頭で述べた仮説と矛盾しないものであるが,生理的機序については今後の課題である.
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