ビデオ解析による脳性麻痺児の自発運動の変化について
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概要
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〔目的〕脳血管障害後の乳児の運動麻痺が悪化していくことを臨床上経験することがある。このような乳児には,運動麻痺の経過に応じて評価・治療が重要となるため,四肢の運動麻痺の詳細な経時的変化を検証することを目的とした。〔方法〕対象は脳性麻痺男児1名(出生28週)と健常男児2名(出生1週)であった。脳性麻痺児の四肢自発運動の臨床的観察評価およびビデオカメラによる運動計測・解析を行った。〔結果〕脳性麻痺児の右上肢の活動量は低下し,活動時にも運動範囲が小さいことから運動麻痺が増大していることが示唆され,臨床的観察評価と一致した。一方,健常児は活動量が減少しているからといって運動範囲も減少しているとは限らず,左右差も見られなかったことから脳性麻痺児とは異なる結果を示した。〔結語〕自発運動は皮質下の影響を受けるため,中枢神経系が成熟する以前の生後早期には脳性麻痺児は自発運動が可能であった。しかし,大脳皮質の神経細胞のシナプス形成や下行性神経の髄鞘形成に伴い,損傷された大脳皮質から影響を受け,右上下肢の運動麻痺が悪化して自発運動が低下したものと考える。
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