研究 運動負荷試験における換気閾値に対する肺胞および死腔換気量変化の関与
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概要
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運動負荷試験における分時換気量(V<SUB>E</SUB>)/酸素摂取量(V<SUB>O</SUB><SUB>2</SUB>),肺胞換気量(V<SUB>A</SUB>)/V<SUB>O</SUB><SUB>2</SUB>,死腔換気量(V<SUB>D</SUB>)/V<SUB>O</SUB><SUB>2</SUB>および動脈血乳酸濃度(L)の推移を観察し,換気閾値と乳酸閾値の関係について検討した.対象は呼吸器疾患を合併していない各種心疾患男性患者35例(年齢57±13歳)である.運動負荷は坐位エルゴメーターを用い1分間に10ワットずつ漸増し,激しい疲労にて中止とした.呼気ガス分析法により,V<SUB>E</SUB>,V<SUB>O</SUB><SUB>2</SUB>および炭酸ガス排泄量(V<SUB>CO</SUB><SUB>2</SUB>)を,動脈血採血にてLおよび炭酸ガス分圧(Pa<SUB>CO</SUB><SUB>2</SUB>)を各々経時的に測定し,V<SUB>A</SUB>,V<SUB>D</SUB>は各々V<SUB>A</SUB>=O.863,V<SUB>CO</SUB><SUB>2</SUB>/Pa<SUB>CO</SUB><SUB>2</SUB>,V<SUB>D</SUB>=V<SUB>E</SUB>-V<SUB>A</SUB>より算出した.嫌気性代謝閾値(AT)を,V<SUB>E</SUB>/V<SUB>O</SUB><SUB>2</SUB>の上昇を伴わずにV<SUB>E</SUB>/V<SUB>O</SUB><SUB>2</SUB>が上昇し始める点(V<SUB>E</SUB>-AT),VA/VO2が上昇し始める点(V<SUB>A</SUB>-AT),Lが急峻に増加し始める点(LT)として求め,各々対応するV<SUB>O</SUB><SUB>2</SUB>の値(ml/体重kg/分)で表わした.結果:1)V<SUB>A</SUB>-AT(10.1±1.9)はLT(10.2±1.8)とほぼ一致したが,V<SUB>E</SUB>-AT(12.7±2.9)はLTより有意に(p<0.01)大なる値をとった.2)V<SUB>E</SUB>/VO2は減少-不変-増加の三相性の変化を示したが,その原因はVA/V<SUB>O</SUB><SUB>2</SUB>とVD/V<SUB>O</SUB><SUB>2</SUB>の推移が異なることによった.結論:V<SUB>A</SUB>-ATはLTとほぼ同時に出現し,運動筋の代謝変化を時間的ずれなく反映することが示唆された.一方,V<SUB>E</SUB>-ATはこれらより遅れて出現したが,その原因はV<SUB>A</SUB>/V<SUB>O</SUB><SUB>2</SUB>の増加をVD/V<SUB>O</SUB><SUB>2</SUB>の減少が相殺する時相が存在するためであった.換気閾値とLTの解離には死腔換気動態による修飾が関与すると考えられた.
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