研究会 第10回 心臓核医学研究会 Dipyridamole負荷心筋シンチグラフィによる進行性全身性硬化症(PSS)の心筋病変の検出
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
全身性進行性硬化症(PSS)では,微小冠血管の器質的異常と心筋線維化の合併が,病理組織学的に証明されてきた.そこで,かかる冠循環障害および心筋傷害を非侵襲的に検出するため,dipyridamole負荷タリウム心筋シンチグラフィを採用し,その診断的意義を検討した.PSS患者21例を対象とし,心エコー図で計測された左室駆出率(EF)に基づき,EF50%以上のPSS-1i群17例と50%未満のPSS-2群4例に分類して検討した.PSS-1群では,視覚的判定より,初期像で欠損像がみられ後期像で欠損の消失をみたtransient defect(TD)は4例に,初期像は正常でも後期像で欠損が出現したreverseredistribution(RR)は3例に,初期像と後期像で同じ欠損が観察されたpersistent defect(PD)は3例に認められた.ま鵡タリウムのwashoutの遅延が9例に認められた.したがって,PSS-1群では17例のうち13例(76%)で異常が検出され,EFが正常のPSS例でもかなり高頻度に冠循環障害あるいは心筋傷害が存在することが示唆された.一方,EF低下のPSS-2群では,全例がPDを示し,心筋線維化の存在が示唆された.すなわち,PSSでは心筋線維化の進行により心機能の増悪がもたらされると考えられた.以上,dipyridamle負荷タリウム心筋シンチグラフィは,PSSの心病変の検出に鋭敏な方法として有用で,EFが低下していない例においても冠循環予備能の低下あるいは軽度心筋傷害の存在を検出しうると考えられた.
- 公益財団法人 日本心臓財団の論文
公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
- 臨床 発作性上室性頻拍症の自然停止様式
- 症例 急性心筋梗塞を合併した大動脈炎症候群の1剖検例
- 臨床 さまざまな疾患に出現する臥位性期外収縮の分析
- 第46回循環器負荷研究会 特発性心室頻拍の高周波カテーテルアブレーション前後での運動負荷試験に対する反応:電気生理学的検査(心室プログラム刺激)との比較検討
- 症例 2種類の心房周期をもつ慢性心房頻拍の1例