侵食谷の発達様式に関する研究 (I):豪雨型山崩れと谷の成長との関係についての一つの考え方
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概要
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谷は成長 (谷密度を大きくする) するものであるとの基本的仮定に立ち, 水系網の成長の最先端に起こる現象が山崩れであるとの考え方の妥当性につき考察を加えた。まず, 谷の成長につき Melton の経験則より谷の成長にともなう1次谷の諸性質につき調べ, 谷の密度が決まると1次谷の数, 大きさが大約一意的に決定されることを求めた。つぎに水系網中の1次谷より一つの位相の低い0次谷を仮定し, それが「山ひだ」であり, その山ひだ内に谷の成長点を考え,その成長活動が山崩れであるとの考え方につき検討を加えた。過去の山崩れ調査資料 (田中, 竹下) より多くの山崩れが「山ひだ (0次谷)」の内部で発生している事実をつきとめた。これより山崩れを主として「山ひだ」の成長にあずかっているもの (Iタイプ)―主として表層風化堆積物が崩壊するもの―および基岩それ自身が表層堆積を混じえて崩壊するもの (IIタイプ) に分けた。IIタイプの崩壊は谷や山ひだの発生にあずかってはいるが, 多くの場合山ひだの成長には関係なく, またこの種の崩壊については一般的法則性が導きにくいと考えられる。Iタイプ崩壊の多くは谷の成長法則より崩壊発生可能地の数および大きさが谷密度の関数として表現される可能性を示唆した。これを基礎にIタイプの山崩れ発生モデルを作成してみた。これらの結果についての著者自身のデータによる実証的裏付作業を現在進めている。
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