スリランカにおける果実・野菜産業による契約農業の経済的研究:ピクルス用キュウリ生産の事例
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概要
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本論文は, スリランカにおいて果実・野菜産業が実施している契約農業について産業及び農民の視点から考察した. データは輸出向け高付加価値農産物の国内最大の契約農業に参加する農民, 同契約農業に参加しない農民, そして果実・野菜産業から収集された. 契約農業は果実・野菜産業にとって重要な原材料の供給源であった. ピクルス用キュウリ生産の事例研究によって, 十分な家族労働力と企業家精神が契約農業に参加する農家の必要条件であることが明らかになった. さらに, 契約農業への参加によって所得が顕著に向上し, 農業所得を比較しても, 契約農業に参加した農家は非参加農家の農業所得を大きく上回っていた. 先行研究等が強調する「貧農を犠牲にして富農が契約農業に参加する」という悲劇は見られず, 所得分配の点でも契約農業は一定の成果を果たしていた. しかしながら, 企業による機会主義的行動や低い固定価格での買付に従属しなければならないという小農の弱い取引力の実態が見られた. この取引力に関する問題を解決し, 小農による果実・野菜産業との契約農業を発展させるための組織的・制度的改善は今後の研究課題である.
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