研究 心筋梗塞巣拡大における血清pyruvate kinase活性測定の有用性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Myocardial infarct extension(MIE)の早期発見,梗塞量の推定に可逆性虚血部位からの遊出が少ないとされる血清pyruvate kinase(PK)の測定が有用か否かを明らかにする目的で,急性心筋梗塞で入院した114例を対象としPKおよび従来から用いられているCPK-MBの経時的測定を行い比較検討した.胸痛が再度出現し,心電図上新しい異常Q波を示し,CPK-MBがピークを過ぎた後再上昇を示したものをMIEと診断した.急性心筋梗塞114例中20例(17.5%)にMIEを認めた.MIEにおいてPK,CPK-MBの値は発症後,それぞれ43.5±8.6時間,52.6±9.8時間で二峰性ピーク値に達した後,75.8±22.4時間,108.6±31.6時間で正常化した.PKはピーク値に達した後正常値に復するのに要する時間がCPK-MBより早く,血清値の変動を容易にとらえることができた.20例のMIEではPK,CPK-MBより算出した梗塞量は,それぞれ46.3±16.4PK-g-Eq,48.8±18.1CPK-MB-g-Eqであった.また,94例の非MIEではPK,CPK-MBによる梗塞量は,それぞれ36.7±23.3PK-g-Eq,39.8±23.4CPK-MB-g-Eqであった.PKとCPK-MBの梗塞量との間には良好な相関関係が認められた.PKによる梗塞量はCPK-MBによるものより小さかった.以上よりPK測定値はMIEの早期発見に有用であり,虚血部からの遊出が少ないため梗塞量をより正確に算出できると考えられる.
- 公益財団法人 日本心臓財団の論文
公益財団法人 日本心臓財団 | 論文
- 臨床 発作性上室性頻拍症の自然停止様式
- 症例 急性心筋梗塞を合併した大動脈炎症候群の1剖検例
- 臨床 さまざまな疾患に出現する臥位性期外収縮の分析
- 第46回循環器負荷研究会 特発性心室頻拍の高周波カテーテルアブレーション前後での運動負荷試験に対する反応:電気生理学的検査(心室プログラム刺激)との比較検討
- 症例 2種類の心房周期をもつ慢性心房頻拍の1例