研究 心筋虚血中の解糖抑制による再灌流時心機能回復の改善:効果の灌流液[Ca<SUP>2+</SUP>]依存性
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概要
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ラット摘出心をKrebs液を用いてLangendorff手技で灌流した.左室圧記録下に40分間灌流後,30分間の完全虚血を作成し,さらに30分間再灌流を行った.虚血前灌流液に2-deoxyglucose(2-DOG)を使用し虚血中の解糖を抑制した群と2-DOGを使用しない対照群で心筋エネルギー代謝,冠流出液pH,再灌流による心機能回復および心筋Ca過剰の変化を検討した.さらに両群で虚血前または虚血後再灌流時の灌流液のfree[Ca<SUP>2+</SUP>] を1.25mMまたは2.5mMとして[Ca<SUP>2+</SUP>] の影響を検討した.2-DOG投与による再灌流直後の冠流出液pHの低下の軽減,虚血終了時の心筋ATP含量低下,lactate蓄積の減少, glycogen消費の減少は,2-DOG投与が虚血中の解糖を抑制し,これに伴いATPの産生・崩壊の減少とH<SUP>+</SUP>率蓄積抑制をもたらすことを示した.これらの変化は同群における再灌流時の心筋収縮・拡張期機能ならびにエネルギー代謝回復の改善と対応した. さらに2-DOGの効果は再灌流時の心筋Ca<SUP>2+</SUP>過剰の軽減と一致した.一方この2-DOGの効果は灌流液[Ca<SUP>2+</SUP>]変更によって左右され,その効果発現が心筋Ca代謝の変化と密接に関連することが示された.
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