研究会 第22回 理論心電図研究会 心筋細胞におけるpatch clamp法について パッチクランプ法の原理と心筋の単一イオンチャネル電流
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概要
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1981年Halnilらにより"lmprovedpatchclarnptechnique"が導入されて以来,その心筋細胞への応用には目覚ましいものがある.すでに少なくとも10種のイオンチャネルが同定されているが,本稿では心筋細胞(cell-attachedmode)におけるsingle channel current測定の原理を解説し,心筋の興奮伝導にとって重要なK<SUP>+</SUP>電流とくに内向き整流K電流(i<SUB>K,rec</SUB>)とNa<SUP>+</SUP>電流(i<SUB>Na</SUB>)の基本的な性質について述べる.<BR>i<SUB>K,rec</SUB>は静止電位の形成にとって最も重要な外向き電流であるが,脱分極方向には電流を通しがたい性質がある,その一要因として細胞内Mg<SUP>2+</SUP>によるK<SUP>+</SUP>チャネルへの干渉が考えられる.Lysophosphatidylcholineは,i<SUB>K,rec</SUB>channelの開確率を減少させるCs<SUP>+</SUP> やBa<SUP>2+</SUP>と異なりそのsigle echannel conductanceを減少させることにより,内向き整流K<SUP>+</SUP>電流をブロックし心筋膜を脱分極させた.i<SUB>Na</SUB>については,脱分極が強いと最初のchannel openingまでの時間(潜時)が短縮し,channelcpeningの同期性は良好であるが,開く回数は一回限りである.一方弱い脱分極では,チャネルの複数回の開閉(reopening)現象がしぼしばみられる.また1個のパッチ膜当り,500回の脱分極(持続500msec,1Hz)に1回の割合で,脱分極の期間中継続して開閉を繰り返すNa<SUP>+</SUP>channe1活動(バースト型)がみられた.このチャネル活動により心室筋細胞は,1回の活動電位当り約20pAの電流を運んでおり,これは活動電位持続時間の約10%に相当する.すなわちこの電流は"windowcurrent"の本態と考えられる.
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