レース中に突然失速した競走馬の心臓病理学的変化
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概要
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4年間の競走馬の日常剖検例,約500例の中から5例が選ばれた。これら5例は競走中,突然失速し,著しく遅れて入線した。競走直後の心電図検査で,5例中3例が発作性心房細動を示した。後日実施した運動負荷心電図検査では,全5例が運動誘発性心室期外収縮を示していたので,心臓病理学的検索に供した。病理組織学的には限局性心筋線維化病変が各々に見い出された。線維化病巣は共通して右心房外側前部の洞房結節隣接領域に存在していた。また線維増生が房室接合部及び心室中隔上部に認められた。線維化及び線維増生を示す病巣の内外には,硬化性変化を呈する小ないし細動脈が頻繁に観察された。心臓病理学的に,心室期外収縮を示した5例の中から心房細動の病歴をもつ3例を鑑別することはできなかった。しかし,心筋虚血に継発したとみなされた線維化および線維増生の病変, あるいはそれらの形態病理発生過程にある病変は,発作性心房細動及び心室期外収の発生に重要な殺割を果たしているものと思考された。
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