日本における社会経済的交通地理学
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概要
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日本経済の急速な発達とこれに伴なう交通の重要性の認識とともに,日本の地理学における交通研究も大きく発展してきた。現代の交通地理学はその研究方法の上で,計量的立場に立つネットワークやフローの分析を主とするものと,社会経済的立場に立って交通機関や交通企業の分析を主とするものとに大別される。本稿は後者の栃点に立つ研究の発達を概観したものである。社会経済的交通地理学とは,技術,制度・政策,経済,文化などの視点およびそれらの発達史を通じて,過去・現在の交遮現象を具体的な地域環境のなかで総合的に分析してゆく立場の交通地理学をいう。この立場の交通地理学はとくに1960年代後半以降,近代公共交通機関の研究を対象として発達し,港湾と沿岸海運,鉄道,バスなどの交通機関やそれらを経営する交通企業の分析に成果を挙げてきた。また,交通の発達過程を分析することによって,さまざまの「決定の過程」を明らかにしようと試みたものも多く,さまざまの地域における事例研究を総合することによって,全国的ないし,世界的な傾向を帰納的に明らかにしてきた。このような方法を通じて,地域社会のなかにおける近代交通機関の意義が適切に評価され,これに基いて地域計画や交通政策への提言が可能となると考えられる。
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