線形掘削に伴う地下水位変動の数値解析について
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概要
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地下水環境の悪化は,地下水資源の開発ばかりでなく,地形の改変やビルの建設などに起因する場合もある。たとえば,道路の建設や鉄道の敷設に伴う線形掘削は,地下水位の低下や水質汚染,井戸の枯渇といった現象を引き起こす。本研究は,常磐自動車道柏市工区付近における線形掘削工事によって発生するものと予想される地下水位の変動を,1975年~1976年にわたる調査によって得られた資料に基き,数値解析によって予測することを目的とした。 対象地域の地層は,関東ローム層・常総粘土層が全体をおおい,その下に成田層群が存在するが,この地域の東部では,常総粘土層の下位に竜ケ崎砂層が分布して成田層をおおっている。地下水は,ローム層・成田層の砂層中に存在している。この地域の地下水は,おおむね降雨によって涵養されている。この地下水は,台地より低位の部分,すなわち台地端の沖積低地及び洪積台地中にある開析谷へ自然に流出する場合と,人工的な汲み揚げによる場合,さらにより深い層へ浸透する場合とがある。以上のことから,この地域のシミュレーションには自由地下水の水平二次元モデルを用いることとした。また,開放掘削した場合について,鉛直二次元モデルにより水平モデルの検証を行なった。 計算対象領域は幅1 km,長さ3.5 kmの長方形の領域で,境界条件は現状,排水,止水の3種類を設定した。計算は二段階に分けて行ない,第一段階では帯水層常数の決定を,第二段階では線形掘削による影響の予測を目的とした。 数値解折によって得られた結果は以下のとおりである。 (1)排水条件を与えた場合,台地全般にかなりの水位低下が生じることが予想される。 (2)止水した場合,地下水上流側で2m位の水位上昇が生じる場所が予想される。下流側での水位降下は一部で2m以上になることがあるが,排水の場合に比べると,その影響ははるかに小さい。 (3)区間によって条件を変えた場合,条件が変わる地点の前後300m位の区間において,条件を変えたことの影響があらわれる。 (4)鉛直二次元モデルを用いて排水時の計算を行なった結果,鉛直方向の水頭変化はほとんどなく,自由地下水面は水平モデルによって求めたものとかなり近い位置になった。このことから,水平モデルの仮定が無理なく適応できることがわかった。
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