国際穀物価格の上昇と転移効果が韓国農産物および食品市場に及ぼした影響に関する分析
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概要
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この研究の目的は,国際穀物価格変動の衝撃が韓国の輸入穀物価格に及ぼした影響を分析し,物価転移経路ごとの国内穀物,畜産物,加工食品の生産者物価指数と消費者物価指数への転移効果を実証的に分析することにある.その際,国際穀物価格指数変動の国内物価への転移経路を分析するための時系列モデルであるVAR(Vector Autoregression)とVECM(Vector Error Correction Model)を利用した.時系列モデルの推定結果によれば,国際穀物価格と為替の変動の影響は,輸入穀物価格を長期間持続的に上昇させるかたちで現れた.そして,国際穀物価格に影響を受ける韓貨表示の輸入穀物価格と国内穀物,畜産物,加工食品の生産者物価指数と消費者物価指数の波及影響分析を通じて,国際穀物価格変動による国内農産物と食料品物価への転嫁効果を分析した. 輸入穀物価格は,ウォン表示国内穀物価格に上昇圧力として作用することが確認された.しかし,国内穀物価格は輸入穀物価格による上昇要因よりも自体価格による衝撃効果にもっと敏感に反応していた.畜産物の場合,輸入穀物価格上昇が飼料価格上昇を主導しており,畜産農家の生産費増大を通じて畜産物価格に持続的に影響を与えている.国内加工食品の場合,輸入穀物を主原料として使っており,輸入穀物価格衝撃に敏感に反応している.構造変化を検定した結果,ウルグアイ・ラウンド交渉妥結による農産物市場開放によって国際穀物価格は国内輸入穀物価格の下落圧力として作用する構造変化が発生したことが分析された.最近の国際穀物価格の急上昇にともなう構造変化に関する分析結果によれば,国際穀物価格上昇が国内輸入穀物価格に上昇圧力として作用していた.国際穀物価格と為替の非対称価格転移を分析した結果,国際穀物価格が上昇して為替が下落する場合に,国内輸入穀物価格が敏感に反応することが分析された. 韓国経済は海外依存度が高い構造的特徴を持っており,外部要因の衝撃に脆弱である.農産物のなかで輸入に全面的に依存している主要穀物(小麦,トウモロコシ,大豆)においては,国際穀物価格上昇が国内飼料価格上昇を通じて畜産農家の生産費を増大させるだけでなく,輸入穀物価格の上昇と国内食料品価格上昇を主導して国民の生活にも直接的に影響を与えていることが分析された.したがって,韓国農業と食品消費において海外衝撃を緩和させることができる多様な対策を持続的に民官が共同で開発していかなければならない.
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