バングラデッシュにおける農業者の収益性改善に向けた野菜作マーケティングの現状と課題:―カラティア・ビレッジにおける定性分析―
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概要
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バングラデッシュでは多くの農民の間で商業的な野菜作が活発化している.野菜の生産は,多くの小規模農業生産者にとって,市場向けに生産を行うことで,自給自足的な営農に追加的な所得をもたらす.本研究では,ダッカ近郊のカラティア村における40戸の生産農家を対象とした調査から,野菜作による追加所得を実証的に示すとともに,洪水などの生産上の問題点を確認した.また,市場出荷にかかる問題点として,価格の不安定性(出荷最盛期の価格低迷),資本不足,輸送上のロス,道路などのインフラの未整備,仲買人の存在など,貧弱な輸送ネットワークが挙げられることを明らかにした.このように,野菜作には多くの生産上・販売上の問題が存在するが,調査対象農家では実質的な所得が獲得されていること,バングラデッシュでも将来的には野菜の需要量が増加することが予想されることから,持続的な野菜の市場流通システムを確立するため,市場の合理的な配置,野菜の収穫技術の向上,生産者組織の確立,道路などのインフラ整備などが重要であることを指摘した.
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