バングラデシュのブロイラー契約生産における制約要因
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概要
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バングラデシュのブロイラー生産の大部分は,小規模農家により担われているが,その形態は独立小規模生産と契約生産に大別され,後者はインテグレータの性格により企業型とNGO型とに分けられる.しかし周辺諸国とは異なりバングラデシュでは契約生産の成長はみられていない.その原因は,当初導入されたインテグレータの戦略つまり信用取引型の契約生産が農民行動と整合しなかったことによる.契約生産では双方が契約を遵守することが前提となるが,生体取引が中心の場合は特に市場価格と契約価格の乖離が契約違反を引き起こす引き金となりやすい.このため,周辺諸国では契約遵守システムの設計に力がそそがれてきたが,バングラデシュでは,インテグレータが採った契約生産システムが農民の契約違反を引き起こし,結果的に信用取引型契約生産の解体につながった.その後,インテグレータは契約違反を起こしにくい現金取引型の契約生産に変えたが,参加農民にとっての利益は小さく契約生産は停滞したままである.しかし今後増大する鶏肉需要を満たすためにも契約生産の拡大は期待されている.インテグレータには,信用取引型契約システムに戻り参加農家を増やすことが求められている.
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