3次元探査のための高速測定可能な可搬式時間領域電磁探査(PTDView)装置の開発と検証実験
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
地下水あるいは防災などのための調査に有効な深度10~100m程度を対象とした3次元比抵抗構造を探査するために時間領域電磁探査(PTDView)装置を開発した.本稿ではその装置の特徴,機器構成および野外での検証実験の結果について述べる. 3次元探査は多点かつ高密度での測定を行う必要があるが,従来の探査の場合,多くの時間とコストが必要である.しかし,PTDViewは,空中電磁探査技術を応用することにより,可搬性に優れ,比抵抗構造を迅速に測定できる探査である. 対象とする深度を時間領域電磁探査法で測定することを検討した結果,装置には1μs以内の時刻同期,最大振幅で正規化したときに10-4より高い磁場測定値の分解能が必要であることがわかった.PTDView装置は,GPS時刻同期と24bitの分解能のAD変換器により,これらの高分解能を可能にした. PTDViewの適用性を確認するために,まず1次元解析が成立すると考えられる水平多層構造の場所(神奈川県三浦半島および大阪南部)で測定を行った.PTDViewにより比抵抗構造を求め,電気検層あるいは電気探査の結果と比較した.その結果,両者の比抵抗構造は整合し,PTDViewが有効であることが確認された.この手法を用いて,淡路島北部の野島分岐断層を比抵抗構造により追跡して,その詳細な位置を把握することができた.PTDViewは,測定時間も短く,コストの観点からも実用的な探査であることが示された.
- 一般社団法人 日本応用地質学会の論文
一般社団法人 日本応用地質学会 | 論文
- 沖縄本島ビーチロックの物理・力学特性
- 海面処分における水中の沈降物の底面への衝撃に関する一考察
- 気仙沼湾内津波堆積物中の珪藻遺骸群集解析に基づく津波時の土砂移動の推定
- 土木構造物の維持管理における応用地質学の役割
- 電気探査法による有明・八代海の海底下浅部の地質構造のイメージングと地下水湧出経路推定への応用