フィリピン・ルソン島南部イロシン火砕流堆積物およびそれに伴う降下火山灰の熱ルミネッセンス(TL)年代
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概要
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イロシンカルデラ形成に関係した火砕流堆積物と同源降下火山灰の熱ルミネッセンス(TL)年代を測定した。試料は,火砕流堆積物の細粒部分2個(IrTL-01と-02),直径約 10 cmの岩片1個(IrTL-03),噴出源から約 80 km離れた降下火山灰1個(IrTL-04)の計4点であり,地質学的に同一層準のものである。得られたTL年代は,IrTL-01が35 ± 8 ka,IrTL-02が37 ± 10 ka,IrTL-03が33 ± 8 ka,IrTL-04が45 ± 10 kaである。IrTL-01と-02のTL年代は近い値を示し,火砕流堆積物中の炭化木片のAMS 14C年代から得られた41 cal kBPとほぼ一致する。岩片を測定したIrTL-03の年代はやや若くなっており,フェーディング等の誤差要因の寄与が考えられる。降下火山灰であるIrTL-04の年代は,逆に古い値となっており,試料が細粒火山灰のため,年間線量を少なく見積った可能性が考えられる。今後は,できるだけ誤差要因の少ない試料の選択と厳密な測定により,精度の高いTL年代を得る必要がある。
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