健常人における Body Tracking Test 追随軸の変位について
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概要
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私たちは, 動的体平衡機能を定量的に評価する方法である Body Tracking Test (以下, BTT と略す) を用いて, 健常人の追随時の体重心移動のあり方を解析したので報告する. 対象は, めまい・平衡障害の既往がない健常被検者779名で, 平均年齢37.9歳である. 視刺激は, 前後方向定速刺激BTT, 左右方向定速刺激 BTT を用いた. BTT 解析は, 主成分分析法による第一主成分を主軸とした主軸解析にて行った. 主軸方向について, 座標Y軸とX軸の傾きを算出して軸の傾きを評価した. 全年齢の傾き角は, 前後方向 BTT では位置ベクトル・速度ベクトルともに時計方向 (プラス方向) に傾きを示した. 左右方向 BTT では, 位置ベクトル・速度ベクトルともに反時計方向 (マイナス方向) に傾きをもって追随していることがみられた. 年代別にみると, 前後方向 BTT ではゼロ度からの傾き角が有意差をもってプラス方向 (時計方向) を示した. また, 左右方向 BTT では10~30歳代には傾きはみられずX軸に沿った追随を示していた. 追随軸の傾きについては, 重心移動する習慣 (習性) が大きいのではないかと考えられた. 空間知覚には右脳の頭頂葉が主に関与しており, 下肢と体幹の位置関係においては, 身体左側からの体性感覚情報が大きく活用されるものといわれている. 主軸の変位は, 利き足・軸足の関係, そして空間知覚に関与する頭頂葉の働きが関係している可能性があると思われた.
- The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.の論文
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc. | 論文
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