難聴を合併したMPO-ANCA関連血管炎患者の3D-FLAIR MR画像評価
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概要
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難聴, めまいや顔面神経麻痺を合併するMPO-ANCA関連血管炎の報告が散見される. 今回われわれは, 難聴を主訴に来院しMPO-ANCA関連血管炎が疑われた症例の蝸牛, 前庭, 顔面神経の3D-FLAIR MR画像と症状の有無について, 小脳半球の信号強度比 (Signal intensity ratio, SIR) を用いて検討した.検討した症例は8例で, MPO-ANCA陽性例は6例であった. 5周波平均骨導聴力と蝸牛のSIRは造影前, 造影後ともに強い相関関係を認めており, 蝸牛のSIRが蝸牛障害の程度を反映していることが示唆された. 5例8耳に顔面神経麻痺を合併しており, 顔面神経麻痺合併例の造影後SIRは非合併例の造影後SIRに比べ有意に高かった. めまいを発症していた症例は3耳であったが, 造影前後の前庭SIRはめまいの有無で有意差は認めなかった.感音難聴や顔面神経麻痺を発症した症例の3D-FLAIR MR画像では, 蝸牛や顔面神経のSIRが造影後有意に増加しており, MPO-ANCA関連血管炎患者のこれらの症状は血管炎などの強い炎症が原因であると考えられた. 内耳3D-FLAIR MR画像のSIRの測定は内耳や顔面神経障害の評価に有用であった.
- 日本耳鼻咽喉科学会の論文
日本耳鼻咽喉科学会 | 論文
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