長期の血液透析療法施行中にWernicke脳症による意識障害を呈した1例
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概要
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症例は82歳男性. 腎硬化症を原疾患とする慢性腎臓病のため10年間血液透析を施行されていた. 食欲低下と回転性めまいを認め, 症状は少しずつ増悪していた. 症状出現から約1か月後にJCSII-20程度の意識障害を伴い, 当院へ搬送され入院とした. 頭部MRIにて中脳水道周囲, 第3脳室周囲, 乳頭体に左右対称性の異常信号領域を認め, ビタミンB1 (VitB1) 低値であることからWernicke脳症と診断した. チアミンの投与を行い, 投与10日目には意識レベルはJCSI-2程度まで軽快した. しかしながら, その後誤嚥性肺炎を生じ死亡した. 維持透析患者において透析食や血液透析における除去のためVitB1はしばしば欠乏する. Wernicke脳症は治療の遅れにより死の転帰や後遺症を残すことも多く, 透析患者において精神症状や意識障害などWernicke脳症が疑われた際は直ちにVitB1の投与を検討する必要がある.
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一般社団法人 日本透析医学会 | 論文
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