シカの採食が一斉開花・枯死後のチュウゴクザサの実生更新に及ぼす影響
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概要
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本研究では,近年,シカによる森林植生の採食が顕在化してきている京都市北部山間地域において,シカの採食がチュウゴクザサの実生更新に与える影響を明らかにするため,チュウゴクザサが2004 年に一斉開花・枯死した箇所に防鹿柵を設置し,2010 年まで, 防鹿柵内外のチュウゴクザサ実生の成長を調査した。調査の結果,柵外の実生の稈及びシュートの数は,2008~2009 年に増加し,柵内の実生より多くなったが,2010 年には減少し,柵内の実生と有意な差は確認されなかった。柵外の実生の稈の高さ,地下茎の長さ,乾燥重量は,2008 年以降,柵内の実生より小さくなった。2010 年における柵外の実生のそれらの値は,2009 年より減少する傾向が確認された。このことから,チュウゴクザサの実生は,シカの採食を受けると2 年程度の間は小型化・高密度化するが,3 年間以上シカの採食を受けると稈及びシュートの数,個体サイズが減少すること,シカの採食による影響は地下茎の伸長量の減少といった地下部の成長にも及ぶことが示唆された。今後もシカの採食が続けば,京都市におけるチュウゴクザサ実生は衰退する可能性が示唆された。
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