ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂の特性研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近年半導体の実装方法やパッケージ形態が急速に高度化している。またこの技術革新に伴い, エポキシ樹脂封止材料に対しても, 高性能化への要求が益々高まっている。これに対応するため, ユニークな分子骨格を有する新規エポキシ樹脂の開発検討が活発に行われているが, 本研究者らも分子構造中にジシクロペンタジエン (DCPD) 骨格を含有したエポキシ樹脂を開発した。このエポキシ樹脂は, 優れた耐熱性, 吸湿特性, 電気特性, 密着性などを硬化物に付与できる。そこで今回DCPD型エポキシ樹脂の硬化物に, これらの優れた諸特性が発現する原因の解明を行った。<BR>解明方法として, 4種類のDCPD骨格濃度が異なるエポキシ樹脂試料を合成し, DCPD骨格濃度と諸特性の関係を検討する方法を採用した。その結果, 興味深い種々の現象が確認された。まずDCPD骨格濃度の増加に伴い, 架橋密度が実質的な増加を示さないにも拘わらず, Tgの大きな上昇が確認された。またDCPD骨格濃度の増加とともに, 誘電率と誘電正接の低下も認められた。<BR>Tgの増加の理由は, DCPD骨格の持つ剛直性と大きな立体障害に因る三次元網目鎖のミクロブラウン運動の抑制力が非常に大きいためであると考察した。また低誘電率は, Clausius-Mossottiの誘電率理論に則り, 分子量が高いDCPD骨格がもたらす低水酸基濃度 (低モル分極率) と, バルキーな立体構造がもたらす高モル体積が原因であると考察した。また低誘電正接と低吸湿率は同様に低水酸基濃度が原因であると考察した。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文
著者
関連論文
- 新規エポキシ樹脂の分子設計に有用な分子構造の機能解析
- 新規の柔軟強靭性液状エポキシ樹脂の開発
- ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂の特性研究
- 22 高機能性エポキシ樹脂の分子構造と特性の関係:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の研究
- ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂の特性研究
- 熱硬化性樹脂の最近の進歩 (5):エポキシ樹脂
- ポリベンジル変性テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂の合成と評価
- 新規ナフチレンエーテルオリゴマーの合成と環境調和型エポキシ樹脂への応用
- ヘキサメチル基とフェニル基を置換基にもつキサンテン骨格を含有するエポキシ樹脂の合成と物性
- 特異なメタ位反応性を活用した新規高芳香族性ビフェノールの合成、及びそのエポキシ化物の合成と硬化物物性評価