ガス交換/ICP-TOFMSによるたばこ煙の直接・多元素同時分析
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概要
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空気中の浮遊粒子状物質(SPM: suspended particulate matter)を誘導結合プラズマ(ICP)に導入するため,ガス交換器(GED: gas exchange device)を試料導入系に採用した,ガス交換/誘導結合プラズマ飛行時間型質量分析法(GE/ICP-TOFMS)を開発し,たばこ煙の直接・多元素同時分析を行った.ICP-TOFMSは多元素同時分析を行うことのできる質量分析装置の一つであるので,たばこ煙の流量や煙濃度,またはたばこ煙に含まれる元素濃度が時間の経過に伴うたばこの燃焼状態の変化や環境の変化によって変動したとしても,その瞬間のたばこ煙に含まれる多元素を同時に計測することができるリアルタイム分析法として用いることができる.本GE/ICP-TOFMSによるたばこ煙の直接・多元素分析を行ったところ,たばこの先端から出る煙である副流煙からは,B,Rb,Cd,I,Tl,Pbが特徴的な元素として検出された.数種類の異なる銘柄の市販のたばこの副流煙について測定を行ったところ,元素の信号強度比を用いることで,たばこの分別が可能であることが示唆された.たばこを吸った後に呼気とともに吐出される主流煙からも副流煙と同様の元素が検出されたが,副流煙と比較したところ元素信号強度比に相違が見られた.本研究で開発したGE/ICP-TOFMSは,日本発の技術(GED)を用いた世界初の分析手法であり,たばこ煙のように時々刻々と変化するような気体試料のリアルタイム・高感度多元素同時分析法としての利用が大いに期待される.
- 公益社団法人 日本分析化学会の論文
著者
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西口 講平
住友精化
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大畑 昌輝
独立行政法人産業技術総合研究所 計測標準研究部門 無機分析科 無機標準研究室
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西口 講平
住友精化株式会社技術室
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宇谷 啓介
株式会社ジェイ・サイエンス・ラボ
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西口 講平
株式会社ジェイ・サイエンス・ラボ
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大畑 昌輝
独立行政法人産業技術総合研究所計測標準研究部門無機分析科無機標準研究室
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