モノに関する記憶の想起が愛着意識に及ぼす影響:自転車に対する愛着意識と放置駐輪問題を対象として
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概要
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本研究の目的は、モノに関する記憶の想起がそのモノに対する愛着意識にどのような影響を及ぼすかについて実証的に検討することである。この目的の下、具体的なモノとして「自転車」に着目し、大田区在住の自転車利用者704名を対象として実験を行った。この実験では、自転車に関する記憶を想起する条件を設定し、自転車への愛着意識に及ぼす影響を検証した。併せて、放置駐輪問題に関して、実験対象者の放置駐輪に対する態度を測定し、実験条件との関連を検討した。その結果、自転車に関する記憶を想起することにより、自転車への愛着意識が向上する効果が示された。さらに、自転車への愛着意識が放置駐輪を控える傾向と関連している可能性が示された。自転車に関する記憶の想起と放置駐輪に関わる態度との間には直接的な関連性は認められなかったが、共分散構造分析より、自転車に関する記憶の想起が愛着意識を活性化し、愛着意識が放置自転車配慮傾向(及び放置駐輪抑制意図)、放置自転車配慮傾向が放置駐輪抑制意図を活性化する、という因果プロセスの妥当性が示された。また、自転車に関わる記憶の想起による効果がどのような条件に依存しているかについて検証したところ、主な交通手段が自転車でない人、有料駐輪場を利用しない人、盗難経験のない人においては、自転車に関わる記憶を想起することによって、自転車への愛着が向上する効果がとりわけ強いという結果が示された。最後に、本研究の結果が放置駐輪問題に対して示唆する点についてとりまとめた。
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