不均質な地質環境における地層処分場の止水プラグ設計方法に関する基礎的検討
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概要
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高レベル放射性廃棄物地層処分場の閉鎖時には, 定置した廃棄体中の核種を地上から隔離するため, 坑道の埋め戻しを行うと共に, 坑道掘削により生じるゆるみ域 (坑道近傍において掘削損傷や応力開放などにより物性値が変化する領域) や周辺岩盤と埋め戻し材との境界部が連続した核種移行経路とならないように, また, 核種移行経路となり得るゆるみ域と断層破砕帯などとの連続性を遮断できるように止水プラグの設置が検討されている. 止水プラグについては, カナダ原子力公社とサイクル機構が共同で実施したトンネルシーリング試験により止水プラグ自体の実現可能性の確認が行われているが, 処分場全体における止水プラグの具体的な役割を踏まえた設計方法については, 検討途上であり, 不均質な地質環境における止水プラグの有効性や具体的に期待する性能などが明らかになっていない. そこで, 本論では予察的解析を行い上記した止水プラグの設計に関わる課題を明確にし, 不均質な地質環境において適用すべき地層処分場の止水プラグ設計方法を提案する. 本止水プラグ設計方法は, 先ず, 廃棄体定置のために必要な緩衝領域 (十分な核種移行遅延が可能な領域) を定義し, そして廃棄体定置のための坑道掘削により損傷した緩衝領域の機能を補うことが止水プラグの役割であるとした上で, 処分場全体として止水プラグの設置数を減らすように, 坑道掘削時の情報を用いて処分坑道のレイアウトを最適化する手法である.
- 一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会の論文