薬効モデルとしてのリポポリサッカライド(LPS)硝子体接種によるSprague-Dawleyラットのエンドトキシン誘発ぶどう膜炎(EIU)モデルの実用性
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概要
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見込みのある抗炎症物質の薬理学的評価のためのエンドトキシン誘発ブドウ膜炎モデルとしての実用性を調べるために、Sprague-Dawleyラットにサルモネラのエンドトキシンを硝子体接種し眼内炎症を誘発した。眼内炎症は、対照のラットも同様に、リポポリサッカライド(LPS)接種前0時間(無処置眼)と接種後3、12と24時間の房水中の浸潤細胞数、蛋白濃度、プロスタグランジンE2(PGE2)と一酸化窒素(NO)レベルを測定することで評価した。LPS硝子体接種24時間後の細胞浸潤数(82±32.1x10<SUP>5</SUP> cells/ml)は、それぞれ無処置眼(0±0x10<SUP>5</SUP> cells/ml)あるいはPBS硝子体接種(0.1±0.2x10<SUP>5</SUP> cells/ml)と比べて有意に上昇した。蛋白濃度は、無処置眼(3.8 ± 1.9 mg/ml)と比べてLPS接種後3時間(12.4 ± 3.3 mg/ml)、12時間(15.5 ± 7.6 mg/ml)と24時間(14.1 ± 1.5 mg/ml)で有意に上昇した。一方、PBS硝子体接種後の蛋白濃度は、3時間(10.9 ±3.2 mg/ml)と12時間(6.0 ± 0.9 mg/ml)で有意に上昇し、24時間後(5.3 ± 0.9 mg/ml)に減少し、無処置眼(3.8 ±1.9 mg/ml)と比較して有意差を認められなかった。LPS接種群と対照群のそれぞれの時間の有意差は、硝子体接種後12時間と24時間で認められた。PGE2とNO濃度は、硝子体LPS接種後12時間から無処置眼(348.9 ± 200.8 pg/ml and 179.8 ± 47.5 μmol/ml)より有意に高く、24時間後に最高値であった(949.5 ± 218.6 pg/mlと407.6 ± 59.7 μmol/ml)。一方PGE2とNO濃度は、無処置眼(348.9 ±200.8 pg/mlと179.8 ± 47.5 μmol/ml)と比べてPBS硝子体接種後12時間(762.1 ± 148.7 pg/mlと272.3 ±10.8 μmol/ml)で有意に上昇した。これらの結果は、PBS接種による炎症仲介指標の値は、無処置眼と比べて有意に上昇しているために、硝子体処置の影響は、12時間後まで存在することを明らかにするものである。しかしながらLPS接種後24時間のすべての炎症指標は無処置眼あるいはPBS接種と比較してそれぞれ有意に上昇していたので、眼内炎症のこのモデルは、見込みのある抗炎症物質の評価のために適しているかもしれない。
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