日本総合健診医学会 第40回大会・シンポジウム1 クライアントから見た総合健診ライフサイクルと健診の役割
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概要
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職域の健診には、労働安全衛生法(安衛法)と行政指導通達等に基づき事業者にその実施が勧奨されている健診とがある。一方、グローバル競争の激化に伴って、過重労働や職場ストレスへの対応の重要性等が浮上している。一般健康診断には、雇い入れ時健診、定期健診、海外派遣労働者の健診などがある。平成20年度からは高齢者医療確保法に基づいて健保などの医療保険者が特定健康診査とその結果に基づく特定保健指導を実施している。これにより、40歳~74歳の就業者の健康評価が行われることになる。75歳以降は後期高齢者医療制度による。このように、職場においては、安衛法に基づく健診のほかに高齢者医療確保法に基づく特定健康診査、健保ごとに独自に企画される人間ドックやがん健診などが実施されている。各健診は、目的および健診項目に相違があり、結果の活用にも注意をする必要がある。総合健診を実施している安衛法による健診は、海外派遣労働者の健診のみである。これは、通常の総合健診より検査項目が少ない。 NECの現況:ライフサイクル健診としては、雇い入れ時健診から始まり、年代別に定期健診を軸にがん検診、人間ドックを選択出来るようにしてフォローする体制を取っている。また、歯科健診は歯周病・力リエス対策のために実施している。NEC健保では、人間ドック・がん検診・婦人健診を実施している。 今後の展望:健診について、健診検査項目の見直しの検討、過重労働に対する健診&メンタルに対応する健診の設定、健診の一次予防へ寄与度を強めること、健診後のフォローの充実、安衛法などで行われている健診の是非などの検討の課題に取り組んでいく必要がある。また、安衛法により事業主がほぼ強制的に実施する健診は受診率が高いが、健保等医療保険者が行う健診は任意であるため、受診率は低い。この点に関しても受診を促すシステムを構築し、ライフサイクルでフォローできるように整備が必要である。