慢性心不全患者におけるB型ナトリウム利尿ペプチド, 心筋トロポニンT, C反応性蛋白値を用いたマルチバイオマーカーによるリスク層別化

概要

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背景: B型ナトリウム利尿ペプチド(B-type natriuretic peptide; BNP), 心筋トロポニンT(cardiac troponin T; cTnT), C反応性蛋白(C-reactive protein; CRP)値は, それぞれ慢性心不全(chronic heart failure; CHF)の予後規定因子である. 本研究では, 上記3者の組み合わせがCHFのリスク層別化に有用であるか否かを検討した. <BR>方法: CHF 124名でBNP, cTnT, CRPを測定, CHF増悪による死亡または再入院をend-point(心事故)として追跡調査を施行した. <BR>結果: 平均33カ月追跡で, 47名の心事故が発生した. Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では, 計9変数(年齢, クレアチニン, ノルエピネフリン, BNP, CRP>中央値, 左室駆出率<中央値, 男性, NYHA IIIまたはIV, cTnT検出)のうちBNP>204pg/mL(ハザード比3.44, 95％信頼区間1.72-6.87, p＝0.0005), cTnT検出(≥0.01ng/mL)(ハザード比2.02, 95％信頼区間1.09-3.74, p＝0.02), CRP>0.20mg/dL(ハザード比2.10, 95％信頼区間1.06-4.15, p＝0.03)の3つのみが独立した心事故予測因子であった. またKaplan-Meier分析より, 3つのマーカーのうち上昇した数が多いほど, 心事故回避率が有意に低値であった. <BR>結語: BNP, cTnT, CRPの組み合わせは, CHFのリスク層別化に有用であることが示された.