小学生の安全意識,知識,行動における学年差および性差
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概要
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目的:本研究の目的は,小学生の安全意識および防犯に関する知識,行動,実態における学年差と性差を明らかにすることである.方法:2009年初頭に,日本全国の51校の小学校で横断的調査を行った.調査対象は,1年生から6年生までの小学生17,721名(有効回答数は17,599名,男子8,684名,女子8,915名)である.調査には防犯に関する意識,知識,行動,実態からなる36項目の質問を用いてアンケート調査を行った.学年差および性差の比較はχ2検定を用いて行った.結果:学年別の比較を行い,その後,低学年(1-3年生)と高学年(4-6年生)にわけて比較を行った結果,低学年の児童は望ましい回答をする傾向が見られた.日常的な安全については,男子(Q25の望ましい回答32.2%)よりも女子(Q25の望ましい回答67.6%)のほうが高い意識を有する傾向にあった.一方,危険への対処能力については,女子(Q11,76.5%)は男子(83.3%)よりも低い傾向にあった.約15%の児童(男子15.8%,女子15.7%)が不審者に関するトラブルを体験していた.結論:安全に関する意識,知識や行動には,学年差および性差が認められた.高学年の児童および男子には安全に関する決まりの遵守を教える必要があることが示唆された.小学生には,発達段階や性差を考慮した適切な教育が求められる.
- 日本健康教育学会の論文