吃音症を聴覚で科学する
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
吃音症は,原因・自然回復に誤解の多い疾患である.その誤解を解くには,吃音を科学する,ことが必要である.吃音症の興味深い特徴の一つとして,マスキングノイズや,遅延・周波数変換聴覚フィードバックを聴かせながら話すと,吃音が軽減する.その不思議な吃音症の病態は解明されていないが,聴覚入力異常が吃音症の発症に関与していることが推察できる.そこで聴覚入力機構を調べるために,時間分解能と空間分解能の高い脳磁図を用いて,聴覚ゲーティング機能,聴覚皮質の周波数配列,そしてMRIで灰白質量を比較するボクセル形態解析法を行った.その結果,吃音群において,左聴覚野での聴覚ゲーティングの異常と,右聴覚野での周波数配列の広がりと,それに相応する灰白質量の増加が示された.この結果から吃音者では基本的な聴覚入力において,異常があることが示唆され,吃音の発症の原因の一因と考えることができる.
著者
関連論文
- 多発性脳神経障害を伴った Ramsay Hunt 症候群の1例
- D-24 呼吸困難にて発見された新生児 vallecular cyst の一例
- 小児に対する喉頭気管分離術
- 小児声門下狭搾の検討
- 当科における鼻咽腔閉鎖不全症例の検討
- Craniometaphyseal dysplasia の弧発例
- 中耳乳頭腫の一例
- グリセロールテスト陽性難聴の臨床像
- 多発脳神経症状を呈した Hunt 症候群で発症したHIV例
- ナイスタチン穿孔パッチ法による有毛細胞トランスデューサー電流記録
- ブロム酸塩による高度難聴に対して人工内耳植込術を施行した2例
- 全耳小骨に硬化病変が存在していた耳硬化症の1症例
- 吃音症を聴覚で科学する
- 社交不安障害 (social anxiety disorder : SAD) を合併した発達性吃音症の1例