環境保全型営農意思決定支援システムの開発研究:-作付け計画時のCO2排出量の検討-
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
線形計画法により農業粗所得が最大となる最適作付け面積を計画立案するシステムを開発した.本システムと「営農技術体系評価・計画システム(FAPS)」に複合経営農家のデータを入力し,それらの出力結果を比較した.本システムはFAPSの計画立案結果と同様の結果が得られることがわかった.さらに,新潟県における水田作および畑作の複合経営農家モデルを作成し,環境保全型農業での検討項目となるCO2排出量を算出した.水稲については慣行栽培と有機栽培の2種類の作付け計画立案を行った.農業粗所得,労働時間,CO2排出量の関係を検討した.その結果,水稲有機栽培では除草作業で農薬を使用しないため,慣行栽培よりも長期継続的に多くの労働時間を要することが示された.水稲有機栽培においては慣行栽培より小さい作付け面積で農業粗所得は多くなること,水稲有機栽培と畑作の複合経営における農業粗所得の合計は水稲慣行栽培の複合経営よりも約446千円少なくなることがわかった.また,水田作における単位面積あたりの積算CO2排出量は,有機栽培,慣行栽培ともにほぼ同程度であることがわかった.本システムは,圃場内でのCO2排出量を評価し,一方で農業粗所得を高く維持するための栽培体系や作付け面積を検討できる環境保全型営農意思決定支援システムであることが示された.
- 農業情報学会の論文
著者
-
横山 隆之
Sorimachi Co., Ltd.
-
中野 和弘
Faculty of Agriculture, Niigata Univ.
-
齋藤 貞文
Graduate School of Science and Technology. Niigata University
関連論文
- 地域農業情報ネットワークシステム構築に関する研究(1):-主成分分析による地域情報システムの類型分析-
- 環境保全型営農意思決定支援システムの開発研究:-作付け計画時のCO2排出量の検討-
- 画像処理によるムギ類茎葉の地表面遮光能力の評価