川崎病における治療反応性とバイオマーカー
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
川崎病におけるIVIG療法の効果について,その詳細な機序は未だ不明な点が多い.初回IVIG療法に不応の患者も20~30%いるので,冠動脈瘤の発症を予防するためには早期に治療反応性を予測する必要がある.私共は,DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現プロファイリングの結果から,川崎病急性期には好中球数が増加するのみならず,polycythemia rubra vera 1など顆粒球の分化段階に特異的な遺伝子を発現して質的にも異なることを明らかにした.これに対応して血清中のG-CSF濃度も,IVIG不応群では反応良好群に比べて有意に高く,これらの因子が治療反応性の予測マーカーになると考えられた.さらに,IVIG療法で用いられる濃度のIgGがTNF-α刺激を受けたヒト冠動脈血管内皮細胞に直接作用して,G-CSFやIL-6などのサイトカイン産生発現を強く抑制することを明らかにした.このIgGの抗炎症作用は,これらのサイトカインの転写活性化因子であるC/EBP-δの産生抑制と並行してみられることから,血管内皮細胞における炎症反応増幅機構の抑制に関与している可能性が示唆された.
著者
関連論文
- MS11-10 気道構成細胞からのTSLP産生にはp38 MAPKが関与する(気道上皮細胞/線維芽細胞/血管内皮細胞とアレルギー病態2,第59回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- MS10-#3 β_2-agonistは気道構成細胞からのサイトカインによるTSLP産生を増強する(気道上皮細胞/線維芽細胞/血管内皮細胞とアレルギー病態1,第59回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- MS30-#2 気管支喘息急性発作時に過剰産生されるEGFとamphiregulinの気道リモデリングへの関与の検討(気管支喘息-病態生理1,第59回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- 190 口腔内潰瘍を認めた新生児・乳児消化管アレルギーの1例(食物アレルギー5,一般演題,第21回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- MS9-8 T_H2サイトカインはヒト血管内皮細胞から食欲促進ホルモン,メラニン凝集ホルモン産生を誘導する(MS9 小児アレルギーの病態と治療,ミニシンポジウム9,第21回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- MS11-6 各EGF受容体リガンドによるヒト気道平滑筋・上皮細胞の増殖効果の相違(気管支喘息-病態生理,第58回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- MS11-2 Th2サイトカインは肺微小血管内皮細胞の生存延長を促進する(気管支喘息-病態生理,第58回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- MS9-1 IL-33は肺微小血管内皮及び気道上皮細胞に作用して炎症反応を誘導する(基礎-サイトカイン/ケモカイン,第58回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- MS10-5 TNF-αによる肺微小血管内皮細胞への白血球接着はデキサメタゾンにより増強する(気管支喘息炎症マーカー,第20回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- MS6-7 Th1/Th2サイトカインによるヒト肺微小血管内皮細胞からのCXCケモカイン発現はステロイド不応性である(気道炎症2,ミニシンポジウム6,一般演題,第56回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- P84 Th1/Th2サイトカインはヒト肺微小血管内皮細胞のCXCケモカイン発現制御を介して管腔形成を調節する(サイトカイン・ケモカイン・メディエーター1,ポスターセッション,一般演題,第18回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 143 ヒト肺微小血管由来の血管内皮細胞におけるFGF2, VEGFの増殖効果(気管支喘息-病態生理(5), 第55回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- β2-アドレナリンレセプター作動薬によるTSLP産生増強効果とアレルギー
- 重症アトピー性皮膚炎における低蛋白血症,病態生理の解明
- 牛乳アレルギーの経過中に toxic shock syndrome 様症状を呈した2カ月女児例
- O10-4 IL-4は気道上皮および肺微小血管内皮細胞のST2発現増強を介して,IL-33応答を増強させる(O10 気道上皮細胞2,口演,第60回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- MW12-2 Food Protein-Induced Enterocolitis Syndrome (FPIES)におけるLPS除去乳抗原を用いたリンパ球幼若化試験(MW12 小児消化管アレルギー,ミニワークショップ,第60回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- W3-4 肺微小血管炎症の特徴と気道リモデリング(W3 気道リモデリングと血管リモデリングの類似点・相違点,ワークショップ,第60回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- サイトカインプロファイルからみた川崎病 (あゆみ 川崎病40年--研究の最新動向) -- (成因・病態)
- 川崎病の病因と病態 (特集/川崎病--川崎病を総合的に科学する) -- (疫学と病因・病態)
- γ-グロブリン (小児の臨床薬理学) -- (免疫・アレルギー薬)
- 川崎病と免疫異常 (特集 川崎病--発見後40年の軌跡と今後の課題) -- (病因と病態)
- IgG大量投与 (特集 自己免疫疾患の免疫療法とその作用機序)
- 小児の発熱の特徴と注意点 (特集 発熱の診かた) -- (診療に役立つ基礎事項)
- 急性脳症と急性腎不全をともなった Yersinia pseudotuberculosis 感染症の1例
- 病原体から (特集 川崎病の本態にせまる--古くて新しい研究から) -- (病態にせまる(研究成果から本態にせまる))
- O5-8 毛根組織を用いた皮膚疾患の病態解析(O5 アトピー性皮膚炎,口演,第61回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- MS17-3 新生児-乳児消化管アレルギー患者におけるミルク蛋白特異的サイトカインプロファイル(MS17 消化管アレルギー,ミニシンポジウム,第61回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- MS1-2 結晶シリカはPoly I:Cとの共存により気道上皮細胞傷害を誘導する(MS1 好酸球/サイトカイン,ケモカイン,ミニシンポジウム,第24回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- MS1-3 皮膚構成細胞に対するIL-33の作用(MS1 好酸球/サイトカイン,ケモカイン,ミニシンポジウム,第24回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 川崎病における治療反応性とバイオマーカー
- O63-1 結晶シリカはPoly I:C共存下でカスパーゼを介した気道上皮細胞のアポトーシスを誘導する(気道上皮細胞・ケラチノサイト2,口演,第62回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- P/O-163 新生児・乳児消化管アレルギーの発症日令,4つのクラスター及び欧米との差(食物アレルギーの発症メカニズム2,ポスター発表,一般演題)
- P/O-284 アトピー性皮膚炎患児の養育者におけるステロイド忌避の予測因子についての検討(アトピー性皮膚炎の治療,ポスター発表,一般演題)
- O59-4 培養皮膚3次元モデルに対するIL-33の作用(サイトカイン・ケモカイン2,口演,第62回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- P-269 皮膚構成細胞からのTARC産生に関する検討(アトピー性皮膚炎の発症メカニズム,ポスター発表,一般演題)
- S1-2 抗原が含有するプロテアーゼによる炎症惹起と,アレルギー疾患の発症に関するメカニズム(S1 アレルギーの発症メカニズムと予防,シンポジウム1,第25回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- P-345 気道組織細胞におけるIL-17の作用(好酸球・肥満細胞・上皮細胞,ポスター発表,一般演題)
- O34-1 免疫グロブリンによる冠動脈血管内皮細胞の抗炎症効果(アレルギー治療薬,口演,第62回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- O11-4 新生児・乳児消化管アレルギー,クラスター1,2におけるリンパ球刺激試験,サイトカイン産生の差(食物アレルギー 検査,口演,第62回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- P/O-334 結晶シリカとPoly I:Cのマウスへの吸入暴露は好中球性気道炎症を増悪させる(動物モデルによるアレルギー疾患の病態解明,ポスター発表,一般演題)
- O61-5 肺の組織構成細胞におけるペリオスチン産生とステロイド剤の効果(O61 サイトカイン2,口演,第63回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- 血漿交換療法への反応が不十分であった免疫グロブリン療法不応川崎病の2乳児例
- 最近10年における川崎病巨大冠動脈瘤の実態全国調査
- 川崎病における治療反応性とバイオマーカー