樹林コリドーがニホンザルの農作物被害に与える影響
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概要
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近年,野生鳥獣による農作物被害が増加している.本研究では,新潟県新発田市で生息が確認されているニホンザルの群れのうち,「大槻群」を対象群として,その行動圏とコアエリアを明らかにし,その中の森林と農地の空間分布パターンが,サル由来の農作物被害にどのような影響を与えているのかを検討することを目的とした.まず,ALOS/AVNIR-2画像から土地被覆分類図を作成し,畑地や水田を抽出した.次に,固定カーネル法を用いて大槻群のコアエリアを調べたところ,帯状の森林と重なることがわかった.さらに,大槻群による農作物被害に寄与する環境因子を特定するため,ロジスティック回帰分析を行なった結果,重要な環境因子は林縁からの距離であることがわかった.行動圏内のモデルでは集落からの距離と道路からの距離も環境因子として寄与していたが,コアエリアのモデルではそれらは説明変数として選択されなかった.これは林縁に近い農地ほど被害を受けやすいことを示す.最終的に,帯状の森林がサルの農地進出の拠点となり,森林と農地を繋ぐコリドーとして機能していることが考えられた.それにより農作物被害の拡大に繋がることが示唆された.
著者
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