危険因子の重積と血漿中イコサペント酸/アラキドン酸比との関連
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概要
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高コレステロール血症患者を対象とした大規模介入試験The Japan EPA lipid intervention Study(JELISにおいて, イコサペント酸(eicosapentaenoic acid; EPAはLDLコレステロール(LDL-C)に依存しない心血管イベント抑制作用を示し, 特に, 高トリグリセライド(triglyceride; TG)および低HDLコレステロール(HDL-C)合併例でイベント抑制効果が大きかった. また, 血漿中EPAとアラキドン酸(arachidonic acid; AA)の比(EPA/AA)と冠動脈イベント発症率の間に逆相関の関係を示すことが報告されている. 本研究では, 動脈硬化性疾患の基盤となる病態のなかでもLDL-C以外の危険因子に注目し, 危険因子の重積の程度と血漿中EPA/AAの関連について検討した. 虚血性心疾患の疑いのため受診した患者196名を対象(年齢は63±12歳, 男性142名, 女性54名)に体格指数(body mass index; BMI), 血圧, 空腹時血糖, HbA1c, 総コレステロール(total cholesterol; TC), LDL-C, HDL-C, TG, EPAおよびAAを測定し, 肥満, 血圧高値, LDL-C以外の脂質異常および高血糖の重積の程度とEPA/AAの関係を調査した. 危険因子の重積に伴いBMI, 血圧, 空腹時血糖, HbA1cおよびTGは上昇し, HDL-CおよびEPA/AAは低下したが, TCおよびLDL-Cには変化はみられなかった. また, EPA/AAの値によって3分割したところ, EPA/AA高値群では年齢が有意に高く, BMI, TGおよび危険因子の重積数は有意に少なかった. 年齢で調整後もEPA/AAが上昇するほど危険因子の重積程度は有意に低下した. 以上のように血漿中EPA/AAはLDL-C以外の危険因子の重積数と逆相関の関係を示したことから, 血漿中EPA/AAの低値が心血管疾患の高リスクの病態に関係していることが示唆された.
著者
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久田 友一郎
浦添総合病院
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梅原 英太郎
大樹会総合病院回生病院心臓血管センター
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小村 泰雄
大樹会総合病院回生病院心臓血管センター
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木村 朋生
大樹会総合病院回生病院心臓血管センター
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小林 和哉
大樹会総合病院回生病院心臓血管センター
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田村 謙次
大樹会総合病院回生病院心臓血管センター