農学分野における検索実態を基にした効果的な検索システム要件の提案
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概要
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本報告では,日本農業文献記事索引の収録書誌データや検索クエリログを利用して,農学分野における同義語の利用傾向や検索実態を調査し,検索システムに必要な要件を提案した.ユーザが検索結果を得られない原因の一つに,投入した検索語と検索対象文書中の語が同義関係にあることを農学分野で初めて確認した.作物名のカタカナ(ひらがな含む)・漢字表記,および「タンパク質」の同義語群(「蛋白質」等)を調査したところ,学術雑誌によって利用される表記,同義語が異なった.「サツマイモ」の同義語群で検索したユーザの63.0%は,同義語群の一つの語を検索に利用していた.これらのユーザが広範な情報収集を目的にする場合,「サツマイモ」の同義語をタイトル含むレコード数から判断して該当レコードの多くが検索漏れとなっていたと推測した.一方,特定の学問領域での情報収集を目的とする場合は,誤った検索語の選定でノイズレコードを得た可能性があった.本結果から,ユーザが投入した検索語の同義語群,およびそれらの語の主要雑誌における出現レコード数を提示することは,ユーザが情報収集の目的に応じた検索語を選択する一助になることが明らかとなった.