超音波診断装置のエコーレベルについての研究:-超音波画像と組織像との比較-
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概要
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超音波画像によるtissue characterizationの臨床利用の可能性を追及するために, 組織学的に性質の異なる二種類の生体組織について, その超音波像とを対比し, その超音波のエコーレベルを定量的に解析することにより, 組織学的特性の抽出を試みた.また, エコーレベルのヒストグラムの解析について検討を加えた.組織内脂肪量とエコー散乱を比較すると, 脂肪の少ない食用肉Aは網目状にみられるのに比べて, 脂肪の多い食用肉Bでは均一に高いエコー像を示した.エコーレベルにおいては, Aの平均値が107.3±4.8, 中央値98.3±3.3を示し, Bの平均値は125.3±16.5, 中央値121.7±18.9という結果が得られ, 平均値ならびに中央値ともBのエコーレベルの方が有意に高い値を示した.ヒストグラムの歪度および尖度は, 歪度においてA1.01, B1.04と数値的には著しい差はなく, 両者とも0より大きく正の非対称分布, すなわち, 左傾分布を示していた.また, 尖度はA-0.20, B-0.27と, 数値的には著しい差はなく, 両者とも度数分布は鈍峯といえた.一方, 組織切片の画像解析の結果, Aでは単位面積あたりの筋線維の示す割合が, 86.37%, Bでは50.96%となり, BはAと比較して筋線維の占める割合は少なく, 脂肪成分や膠原線維などの結合組織の占める割合が大きいことが確認された.以上の結果より, 脂肪成分や膠原線維の量が少ない食用肉Aと, それらの量が多い食用肉Bとでは, Aの方がエコーレベルが低い値を示し, エコーレベルは, 筋組織とその周囲に存在する脂肪, 膠原線維などの量的関係を反映していた.また, エコーレベルのみならずヒストグラムの解析を加えることにより, より詳細に組織性状の定量評価が可能となるといえた
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