全上下顎同時移動術による開咬症の治療
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概要
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顎骨変形症に対する外科的矯正手術は, 下顎骨に対する手術が主に行われてきたが, 複雑かつ高度な変形症では, 上下顎とも移動させる必要がある場合も少なくない.今回, 18歳女性で開咬を伴った小下顎症の症例に対して, LeFortI型に準'じた歯槽部骨切り術と下顎枝矢状分割法による上下顎同時移動術による症例を経験した.咬合状態は, Angle II級, ove rbite-2mm, overjet5mmで, 上下第1, 第2大臼歯のみで咬合しその前方は, 開咬を呈していた.セファロ分析の結果, 前顔面高, 下顔面高ともに+3SDで, さらに上顎臼歯部高径が+3SDと著しい上顎骨の下方向への発育異常が認められた.下顎骨は, Gn-CdおよびPo9'-Goが, ともに-3SDと著しい小下顎症を呈していた.以上の分析結果に基づき, 上顎骨は全上顎歯槽部骨切り術 (horse-shoetype ostectomy) により前歯, 臼歯とも約5mm上方へ平行に移動させ, 下顎骨に対しては下顎枝矢状分割法により約7mm前方へ伸長させるとともに, 約5度の回転を加えた.上顎の固定にはミニプレートを, 下顎はミニプレート用のネジを用い, レジンシーネを介して頬骨下縁にワイヤーで挙上した.術後2週目に顎間固定を解除したが咬合の改善とともに, 閉口時の口唇と上顎前歯との関係も改善され, 審美的にもほぼ満足が得られた.
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昭和大学・昭和歯学会 | 論文
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