ストレプトゾトシン誘導糖尿病ラットにおける骨芽細胞層の微細構造学的・細胞化学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ストレプトゾトシンの静注によって糖尿病を誘導したSD系ラットに, 各種のテトラサイクリンを投与し, 大腿骨骨幹の骨内膜における骨芽細胞の形態的, 機能的変化を走査電顕, 超薄切片法ならびに酵素細胞化学を併用して検索した.ストレプトゾトシン誘導糖尿病ラット (以下Dラット) の骨芽細胞は, 扁平化した細胞外形と核を特徴とし, 細胞内小器官の減少が顕著であった.また類骨層も消失もしくは著しく減少していた.しかしテトラサイクリン, とくにその化学的アナログであるジメチルアミノテトラサイクリン (以下CMT) をDラットに投与した場合は, 骨芽細胞は対照群におけると同様の微細構造を示し, 類骨層も明瞭に認められた.また骨基質表層の有機質を次亜塩素酸ソーダで除去した石灰化骨基質表面を走査電顕観察すると, Dラットが平滑な骨表面を呈していたのに対し, 対照群ならびにテトラサイクリン投与群では, 形成中の骨小腔や不規則な小突起が多数観察された.アルカリフォスファターゼ活性は, Dラットの骨芽細胞にはまったく検出されず, 対照群ならびにテトラサイクリン投与群において, 細胞膜の全周に強く認められた.以上の実験結果から, ストレプトゾトシン誘導糖尿病ラットでは, 骨芽細胞の不活性化による骨形成の抑制が生じること, またテトラサイクリンの投与が, この骨芽細胞の不活性化に原因するosteoporosisを改善するうえで効果的であることが示唆された.
- 昭和大学・昭和歯学会の論文
昭和大学・昭和歯学会 | 論文
- ヒト歯根膜細胞中に存在するアルカリフォスファターゼ陽性細胞と陰性細胞の特徴
- 併用再生治療の臨床的効果
- 培養ヒト歯根膜細胞における各種腱・靱帯マーカー遺伝子の発現制御
- Thy-1分子が歯肉線維芽細胞のコラーゲン貪食に及ぼす作用
- 培養ヒト歯根膜細胞における Twist と各種 BMP antagonist の発現制御