ランゲンドルフ灌流心実験法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ランゲンドルフ灌流心実験法は19世紀末にドイツの生理学者Oscar Langendorffによって開発された実験法である.摘出した心臓の大動脈にカニューレを挿入して冠動脈から心臓を灌流する手法であり,実験操作の簡便さと心臓に対する薬物の直接作用を評価できることから薬理学的作用の評価法として長く用いられてきた.モルモットを具体例として我々の研究室で行っているランゲンドルフ灌流心の標本作製と測定手法について概説する.標本作製の手順であるが,まずモルモットをペントバルビタールナトリウムで麻酔し,ヘパリンを静注後,心臓を摘出する.摘出した心臓の大動脈にカニューレを挿入して冠動脈から心臓を灌流し,ランゲンドルフ標本を作製する.ランゲンドルフ灌流心では心電図,灌流圧,灌流量,左室圧,有効不応期,単相性活動電位の測定が可能である.左室圧は左室内に生理食塩液を満たしたバルーンを挿入して測定する.バルーンの容積を調節することにより収縮末期の左室容積を設定ができ,任意の前負荷状態における等容性収縮を評価することができる.さらに単相性活動電位を用いると,薬物の催不整脈作用をより詳細に評価することが可能である.ここでは一般的な測定項目に加えてより詳細な電気生理学的指標およびそれらの測定に際しての注意点を紹介する.
著者
-
杉山 篤
山梨大学・大学院・医学工学総合研究部・薬理学
-
杉山 篤
東邦大学 医学部 薬理学教室
-
中村 裕二
東邦大学 医学部 薬理学教室
-
安東 賢太郎
東邦大学 医学部 薬理学
-
中村 裕二
東邦大学 医学部 薬理学
関連論文
- 心臓カテーテル検査時に肺動脈解離を起こしたビーグル犬の1例
- P400 単相性活動電位(MAP)記録法による遅延後脱分極(DADs)の検出 : 電気生理学的および薬理学的証明
- 0901 相対不応期に及ぼすClassIII抗不整脈薬の作用の逆頻度依存性 : 単相性活動電位(MAP)記録を用いて
- 新規合成アズレン-1-カルボキサミジン誘導体HNS-32の心血管におよぼす作用
- P159 単相性活動電位(MAP)記録に対するNaチャネルおよびCaチャネルブロッカーの電気生理学的影響
- P157 イヌ摘出血液灌流乳頭筋標本におけるジギタリス誘発Triggered Activity : 単相性活動電位(MAP)による検討
- 薬物誘発性QT延長症候群 : イヌ in vivo モデルでの評価法
- P608 Sphingosinel-phosphate(Sph 1-P)による陽性変時、陰性変力および冠動脈収縮作用 : 薬理学的・生化学的手法による分析
- P353 Mexiletineは薬物誘発QT延長症候群における電気的受攻期を短縮する
- P615 高周波電通時に誘発される房室接合部調律の発生機序 : 自律神経終末の関与について
- 示-513 膵ラ島細胞移植におけるラ島細胞機能及び移植成功率の検討 : ラ島細胞機能評価のマーカーとしての ADENYLYL CYCLASE 活性(第46回日本消化器外科学会)
- 0453 心筋Na^+/H^+交換活性抑制が、虚血-再灌流誘発不整脈の重症度および細胞内高エネルギーリン酸含有量におよぼす影響
- 0933 アデノシン及びコリン受容体に対する刺激効果の部位による相違 : 刺激伝導系と一般心筋における検討
- 非臨床試験におけるQT延長作用の評価
- 第17回日本心電学会学術集会
- ぶどう酢飲料による降圧作用および便秘改善効果:基礎と臨床
- mutant t-PAの臨床薬理
- カルシウム拮抗薬と不整脈
- 心臓突然死のリスク予測に有用な新指標 : beat-to-beat variability of repolarization
- ランゲンドルフ灌流心実験法
- ランゲンドルフ灌流心実験法