漸増負荷運動時血中乳酸動態におよぼす実験的酸-塩基平衡異常の影響
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概要
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本研究は漸増負荷運動時bLA動態およびOBLAが実験的酸一塩基平衡異常に影響されるか否かを明らかにする目的でなされた.健康男子9名 (平均年齢22.2±3.5歳, 身長172.1±6.7cm, 体重67.4±11.7kg, BMI22.57±2.56) に, 体重1kg当たり1.87mMのNH<SUB>4</SUB>Cl (Acid処置) , NaHCO<SUB>3</SUB> (Alk処置) およびNaCl (Cont処置) を200mlの水とともに経口投与し60分後に自転車エルゴメータを用いexhaustionまで漸増負荷運動を課した.酸素摂取量 (VO<SUB>2</SUB>) , 換気量 (VE) および心拍数 (HR) は運動時連続測定し, bLA, vpHおよびv [HCO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>] は2分間隔で測定し, 次のような結果が得られた.<BR>1.安静時VO<SUB>2</SUB>, VE, HRおよびbLA濃度にはAcid, AlkおよびCont処置による差異は認められなかった.<BR>2.漸増負荷運動時VO<SUB>2</SUB>, VEおよびHRの動態には3処置間にまったく差異がなかった.また, 運動継続時間, VO<SUB>2</SUB><SUB>max</SUB>, VE<SUB>max</SUB>およびHR<SUB>max</SUB>にも差異がなかった.<BR>3.漸増負荷運動時vpHおよびv [HCO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>] はいずれの場合も漸減したが, Cont処置に比しAcid処置では有意な低値で, Alk処置では有意な高値で推移した.<BR>4.漸増負荷運動時bLA濃度はいずれの場合にも漸増したが, Cont処置に比しAcid処置で低値, Alk処置では高値で推移した.したがって, Acid処置で得られたOBLAはContおよびAlk処置に比し有意 (p<0.01) な高値であった.<BR>以上の実験結果から, 酸一塩基平衡状態が変化すると漸増負荷運動時のbLA動態やOBLAが異なることが示された.したがって, 血液透析患者や肥満, 糖尿病患者など酸一塩基平衡状態の乱れ易い者では体力指標としてOBLAやLTを用いる場合, 酸一塩基平衡状態のチェックも必要であると思われる.
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