川崎病同胞例の臨床疫学的研究
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概要
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近年わが国の乳幼児に多発し, 原因不明である川崎病 (急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群, MCLS) の原因を明らかにする目的で, 著者は本症の同胞例に注目し, 第6回, 第7回全国調査の結果から抽出した同胞例を対象として, 関係の医療機関に調査の協力を求めた.その結果, 同胞例216組435例 (3人同胞例3組を含む) を研究対象として種々の疫学的検討を行ない次のような結果を得た. (1) 年齢分布, および発症間隔別年齢分布は共に, 先発群は1峰性, 後発群が2峰性であった.また, 発症間隔は同日を含む7日以内が約半数を占め, 30日以内では約2/3に及び, 短いものが多かった.しかも, 全数および既出生群共に年長児から発症しているものが多かった.これらのことは同胞間の感染の可能性を示唆しているものと考えられる. (2) 臨床症状および臨床検査成績をみると, 先発群が後発群, 同日群に比してその成績が悪く, より重症化の傾向を認めた. (3) 同胞例に再発が多いこと, および双生児の例数が多いことから, 本症の病因は感染だけで説明することは困難であり, 個体側の因子も関与していることが考えられる.
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